名古屋みなとロータリークラブ

卓話Speech

2026年3月27日(金)(第2771回)例会 No.27

わが社の戦略 人間社会は愛と意志のドラマです

林 永芳さん
株式会社浜木綿 代表取締役
林 永芳さん

皆様こんにちは。日頃から当社の店舗をご利用いただいている方も多いと思いますので、この場をお借りしてお礼申し上げます。ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。

今日は「我が社の戦略」というテーマでお話ししますが、実はサブタイトルにあります「人間社会は愛と意志のドラマです」という、この部分の方をどちらかというとお伝えしたいと思っています。その流れの中で、まず当社の戦略について少しお話ししてから、本題に入っていきたいと思います。

当社は中国料理のレストランチェーンを展開しておりまして、現在43店舗ほどございます。同じような料理を提供するチェーンとして運営しております。
ところで、社内でよく「当社の売り物は何か」という話をするんです。研修などでもよく問いかけるんですが、だいたい「中国料理ではないですか」という答えが返ってきます。ただ、実はそれだけではないと考えています。

昔、私が店長をやっていた頃の話ですが、お客様から電話がかかってきて、「席を取っておいてちょうだい」と言われるんですね。「あそこの丸いテーブルの席ね」といった具合です。それで「お料理はどうされますか」とお聞きすると、「料理は任せるから、3,000円くらいで適当に見繕っておいて」と言われることが多いです。

実際にお越しいただいて食事をされるわけですが、その中で一番多いクレームが何かというと、「あの席って言ったじゃない」というものなんです。料理についてはほとんど問題にならない。実際、当社は中華料理といっても、アジア料理や韓国料理なども取り入れておりますが、「中華じゃないじゃないか」というクレームは今までほとんどありません。ではなぜかというと、ご家族での食事において大事なのは料理そのもの以上に、「どこで、誰と、どのように過ごすか」という点だからだと思うんです。

例えば、温泉に行ったときの話ですが、露天風呂に入っていて、ふと見たら猿が一緒に入っている、というような場面に出くわしたとします。そうすると「これはすごいな、今度は孫を連れてきてやろう」と思うわけです。そのときに思い浮かべているのは、孫と一緒にその場面を共有している瞬間なんですね。
つまり、人は「体験そのもの」ではなく、「誰かと共有する時間」を求めているのだと思います。

当社の店舗でも同じで、お客様は料理を食べに来ているだけではなく、ご家族や大切な方と楽しい時間を過ごすために来られています。「美味しいね」「楽しいね」といった会話が生まれる、その時間自体に価値がある。そう考えています。
この考え方は、「企業が売っているものと、お客様が買っているものは違う」という話にもつながります。外食産業では特にそうで、料理そのもの以上に、時間や空間、体験といった価値が重要になります。

例えば、ある飲食店は「早さ」を売りにしていますし、別のところは「ゆっくり過ごせる空間」を提供しています。同じ外食産業でも、実際に提供している価値はそれぞれ違うわけです。

また最近では、リモートが普及したことで、新幹線や飛行機の代わりにオンラインで済ませるケースも増えています。そうなると、業界の枠を超えて競争が起きているということになります。何と何が競合なのかも、単純ではなくなってきています。ここまでが当社の戦略に関するお話です。

アンパンマンの歌を皆さん一度は聞いたことがあると思いますが、今日はぜひ歌詞を意識して聞いてみてください。いかがでしょうか。最後に少しお話しした内容とつながると思うのですが、なかなか面白い歌だと思いませんか。私も改めて聞いてみて、気づかされることが多かったんです。
「何のために生まれて、何をして生きるのか、わからないまま終わる、そんなのは嫌だ」という、とても大きな問いが投げかけられています。現実に考えても、「何のために生きているのか」というのは非常に難しい問いだと思います。

そこで少し視点を変えて、生命の歴史から考えてみますと、地球上の生命は約40億年の歴史があると言われています。最初は単細胞から始まり、それが複雑化して海の生物となり、魚となり、やがて陸に上がり、恐竜やさまざまな生物へと進化してきました。
そうして40億年もの間、命がつながってきているわけです。遺伝子レベルで見ると、アメーバも私たち人間も、同じような情報を持っているとも言われています。そう考えると、すべての生命はつながっているとも言えるわけです。その中で、人間以外の動物を見てみますと、生きている間にやっていることは大きく二つに集約されます。一つは子孫を残すこと、もう一つは自己保存、つまり生き延びることです。では人間はどうかと考えたときに、基本は同じではあるものの、その形が少し変わっているのではないかと思うんです。少しスケールの話をしますと、仮に1ミリを100年とすると、人類の歴史はおよそ30メートル程度になります。一方で生命全体の歴史は約40キロメートルにもなります。そう考えると、人類の歴史は非常に短く、その中で私たちは生きていることになります。ただし人間は文明や文化を持っており、単に生殖と生存だけで生きているわけではありません。私はこの二つが、人間においては別の形に置き換わっているのではないかと考えています。

一つは「愛」です。単なる生殖ではなく、家族愛や地域愛、さまざまな形での愛を人間は持っています。
もう一つは「役に立つこと」、あるいは仕事とも言えるかもしれません。社会の中で自分が必要とされている、役に立っていると感じることが、人間にとっての自己保存の形ではないかと思います。
自分のしていることが誰かの役に立っていると実感できたとき、人は自然と良い表情になります。そうした感覚は、人間が生きていくうえで非常に大切なものだと思います。
もちろん「愛」といっても、単純なものではなく、家族や地域、国など、さまざまな広がりを持っていますが、いずれにしても人間はそうした高度な形で生きているのではないかと感じています。

そして、いろいろと考えていく中で気づいたのですが、ロータリーの活動も、奉仕や支援といった形で「愛」に基づくものが多いです。しかも、皆さんと一緒にいろんなことをやっていく中で、やりがいや生きがいというものを、私自身もロータリーを通じていただいていると感じています。そういうふうに考えると、ロータリーというのは本当にすごいなと思いますし、これがあるからこそ世界中に組織が広がっているのではないかと思うくらいです。

これから先の話になりますが、近い将来、世の中は大きく変わっていくと思います。自動運転が当たり前になり、ロボットが普及し、AIがさまざまなことを担うようになる。そういう時代の家族の風景というのも、今とはだいぶ違ったものになっていくのではないかと思います。
ただ、それが本当に人間の幸せなのかと言われると、少し違うのではないかという気もしています。やはり、人は人と関わりながら生きていくものだと思います。仕事の場でも、仲間と一緒に目的を共有しながら何かを成し遂げていく。そういう中で、お互いに助け合いながら生きていく社会の方が、より人間らしいのではないかと感じています。むしろ、これからITが進めば進むほど、そういった人と人とのつながりを大切にするような価値や市場も、逆に生まれてくるのではないかと私は思っています。実際、そういうことを求めている方も多いでしょうし、私自身もそうありたいと思っています。

当社でも、社員に対して一つ伝えていることがあります。それは「仕事」と「労働」は違うということです。なるべく「仕事」をしようと話しています。
慣れていない社員は最初なかなか理解できないのですが、「何が違うのか」という話になります。単純に作業として考えると、「料理を作ること」が仕事のように思えてしまいますが、そうではありません。
先ほどもお話ししたように、お客様は料理そのものではなく、「ここで楽しい時間を過ごすこと」を求めて来られています。その目的を理解していなければ、本当の意味での仕事にはならないと考えています。だからこそ、「仕事と労働は違う」と伝えているわけです。

そもそも組織というのは、「ある目的のために作られた分業の仕組み」であると言われています。社長には社長の役割があり、部長には部長の役割があり、それぞれの役割が組み合わさって、一つの価値を社会に提供しているのが会社です。国家も同じで、国民を守るという目的のもとに成り立っています。どの組織も必ず目的を持っているわけですから、その目的をしっかり意識することが重要だと思います。

そして、その目的を考えるときに、人間が持っている「愛」と「意志」という二つの要素を抜きにしては考えられないのではないかと思います。
そういう意味で、これからの時代は「戦略は愛から考える」ということも一つの方向ではないかと、最近感じています。社員一人ひとりが、自分の仕事が誰かの役に立っていると実感し、お客様に喜んでいただけていると感じることができれば、自然と笑顔で働くようになります。従業員が笑顔で楽しく働いている会社は、結果として必ずうまくいくものだと思います。
ですから、「愛」と「自己保存」、言い換えれば「誰かのために」と「自分が役に立っているという実感」、この二つを土台にして組織をつくっていくことが大切ではないかと考えています。

自分自身のことは、自分が一番よく分かっています。良いところも悪いところも含めて理解した上で、それでも「自分は役に立っている」と思えるようになることができれば、それはとても幸せなことだと思います。
そういった考え方をベースにして、社員と一緒に仕事をしていくことも一つのあり方ではないかと、最近感じております。

少しまとまりのない話になりましたが、今感じていることをお伝えさせていただきました。ご清聴ありがとうございました。

名古屋みなとロータリークラブ

国際ロータリー第2760地区 名古屋みなとロータリークラブ

■事務局
〒460-0008 名古屋市中区栄2丁目13番1号
名古屋パークプレイス3F
株式会社マイ.ビジネスサービス.内
tel:052-221-7020 fax:052-221-7023
■例会場
名古屋マリオットアソシアホテル(17階)
金曜日 12:30~13:30